039(仮称)色麻町認定こども園
正式名称
社会福祉法人みらい幼保連係型認定こども園
わくわくゆめの樹こども園
宮城県色麻町に定員219名のこども園を設計する仕事です。
令和3年8月に色麻町が実施した運営事業者選定のための公募型プロポーザルに事業者が応募し、選定されました。(当事務所はプロポーザル時点から協力)敷地は既存の色麻幼稚園の園庭で、新築後に既存幼稚園を解体する予定です。
色麻町の基本理念、教育・保育方針と、運営事業者の教育保育理念に共通し、大切にされていることが「生きる力の基盤づくり」でした。「生きる力とは、社会等の集団の中において、自分自身が価値ある存在という意識をもって働く等の活動を通じて、他者に貢献する力であり、自分自身が自分の良い面も悪い面、すべてを受け入れ(自己受容)、他者を信頼することができ(他者信頼)、自分は他者に対して貢献しているという思い(他者貢献)を高めることにより生きる力を高める。」この理念をどうやって建築(園舎、および園庭を含む環境)として実現していくか、プロポーザル段階から事業者と打合せを重ねていきました。
打合せの中で特に印象的で設計の指針となったのは、「子供たちには子供たちの社会があり、一緒に生活する中で問題が起こった時は子どもたちで話し合って問題解決し、上手に、仲良く生活していくためのルールを決めていく。仲間外れにすることなく、体の大きい子も小さい子も、運動が得意な子も苦手な子もみんなでうまく生活していく。大人は基本的に見守って、最小限の手助けでよい」という事業者の言葉でした。
そこで、以上児が生活する場所は、教室・保育室を区画する壁をなくし、中庭を設け回遊性があり、かつ見通しのきく<ひとつながりの空間>とし、年齢に関係なく一緒に生活する場をつくりました。さらには、園舎内部の仕上、色彩、天井高さと空間の大きさ(狭い・広い)、木架構の現し、時間の移ろいを感じる光環境や行動・遊びに応じた音環境、そして既存園庭の築山の高さに合わせた床レベル(洪水時の一時避難の場所としても機能)など、<ひとつながりの空間>の中に緩やかな変化をつけることで、感受性を刺激し、発見的で多様な経験を促す場をつくることを意図しました。
<ひとつながりの空間>全体が保育室・教室として機能し、午前中はこの場所が好き、午後はここが好き、音楽の聞こえる場所に興味のある子が年齢に関係なく集まるなど、園児各々が好きな場所・興味のある遊びや学びをみつけ、自主的に生活できる環境をつくることが「生きる力の基盤づくり」につながると思い設計しました。
園庭は既存の築山を利用した緩やかな起伏のある丘と、グラウンドとして利用できる平らな場所をつくり、中庭は強風の日でも遊べる場所として整備しました。
また、既存園舎の解体時の騒音に配慮し、設備スペースと職員室関係の諸室を既存園に面する北側に配置し、未満児を既存園舎と最も離れた位置に計画しています。送迎用の駐車場や園庭は既存を極力利用することで、施設整備費の縮減にも配慮しています。
所在地:宮城県加美郡色麻町
竣工:2024.02
用途:幼保連携型認定こども園
地域子育て支援、一時預かり、延長保育
障害児保育、病後時保育
構造規模:木造平屋建て(準耐火建築物)
延床面積:約1800m2
構造設計:NEO建築構造
設備設計:東北設備設計事務所
建築積算:東日本積算
外構協力:KANEKO LANDSCAPE
写真撮影:山下恭弘(Yasuhiro Yamashita)
一次エネルギー消費量 BEIm : 0.57
リンク先:わくわくゆめの樹こども園
<前の仕事 次の仕事>